2015.06.11

実写では大変、CGでは比較的簡単「キャンドルライト」

セリフを使わずに見ている人をひきこむ動画を作ろうと試行錯誤しています。
「映像表現の教科書」という本を熟読中。ここにはセリフを使わないで映像を説明する技法が100とおり掲載されています。


◆影のないライティング
これは影を作らないように設定したライティングです。
前述の教科書では「TVライティング」と説明されています。
感情が見えにくくなるフラットなライティングです。

Tv_lighting01
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この2人はたぶんTVショッピングの司会か何かをしています。
死んだ目で「でもお高いんでしょう?」なんてやりながら、心の中はサッパリ見えません。


◆キャンドルライト
これに対して情感たっぷり、つまりロマンチックなライティングの代表といえばキャンドルライトでしょう。
上とまったく同じ表情・構図・カメラ位置で照明を変えました。

Candle01a
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人物の前に1灯、壁に2灯のキャンドルを配しています。
女性も怪物もずっと感情豊かに見えます。
「美女と野獣」的な恋人同士に見えたり、2人で悪いことをたくらんでるようにも見えます。
果たして2人の関係は?画面の手前には誰がいる?
さまざまな想像をかきたてられます。


◆どっちが難しい?
TVライティングを設定したときに「メリハリがあるものよりも大変だった」と書いたら、「実写でもそうです」とのコメントをいただきました。なるほど勉強になります。

このキャンドルライトの場合、CGは意外に簡単です。
ろうそくの位置に合わせて点光源を置いてるだけ。
さらに便利なことに「光が届く範囲」も数値で設定できるので、前のろうそくの光は壁まで届かないようにしているし(影が映らない)、壁のろうそくの光も人物までは届いてません。

ところが、実写でロウソクの光だけで撮影しようとすると、生きてるのがイヤになるぐらい大変でしょう。素人の私にも容易に想像がつきます。
ろうそくと自然光だけで「バリーリンドン」を撮りきったスタンリーキューブリックの偉業が語りつがれているのも、うなずける話です。

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2015.06.09

わざとフラットにする照明テクニック「TVライティング」

セリフを使わずに見ている人をひきこむ動画を作ろうと試行錯誤しています。
「映像表現の教科書」という本を熟読中。ここにはセリフを使わないで映像を説明する技法が100とおり掲載されています。


◆TVライティングとは
照明のあて方で人物の性格をあらわすことができます。
物語性をきわだたせることができます。
逆に物語性を排除することもできます。
それがTVライティング。

TVライティング
テレビで使われる照明法。
特にシチュエーションコメディで昔から利用されている照明は、明るく、浅く、影のないものだ。[映像表現の教科書p214]

シチュエーションコメディって、画面外から笑い声が入るアメリカのホームドラマですよね?「ルーシーショー」とか「奥様は魔女」とか・・・たとえが古すぎるか。

マニュアルどおり、明るく影のない照明を設定しました。
壁紙もいい感じに安っぽいものが見つかりました。
シチュエーションコメディというよりはテレビショッピングといった仕上りです。
お姉さんが紹介する商品を見て、タレントのモヒカン野郎がおおげさにリアクションしています。
心の中で「でもお高いんでしょう?」などとつぶやきながらご覧ください。

Tv_lighting01
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◆レンブラントライティングと比べてみる
ここで逆にもっとも物語性を感じさせる「レンブラントライティング」と比較してみます。
表情はそれほど大きくは変えておりません。
モヒカン野郎の人格が180度違うように見えます。
照明の威力ってすごい。

Rembrandt_lighting_2
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面白いのは一見簡単そうなTVライティングの方が、設定に時間がかかったこと。3DCGソフトがメリハリのあるライティングを前提に設計されてるということかも知れません。


実はネットで「TVライティング(TV-lighting)」を検索してもここに書かれているようなことがヒットしません。「映画表現の教科書」の筆者は「映像をセリフで説明するのは最低」と言いきるほどの堅物ですから、きっとテレビのこともバカにしていると思います。その辺は差し引いて理解した方がいいのかも。

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2015.06.07

撮影に役立つ!ドラマ性を高めるプロ並みの照明術

セリフを使わなくても見てもらえる動画を作ろうと試行錯誤しています。

◆照明で映像を語る
「映像表現の教科書」という本を熟読中。
ここにはセリフを使わないで映像を説明する技法が100とおり掲載されています。中でも照明は強力な技のひとつで、その中に「レンブラントライティング」なるものがありました。
何やら格調高い名前ですが---

レンブラント・ライティングとは、意識的に明暗のコントラストを作りだす照明法を指す。(中略)
この技法によってドラマ性を高めることや、人生の本質を深くつくことができると言われている。
大抵の場合、善と悪、生と死といった本質的で哲学的な問題提起を描く重要なシーンだけに使われる。
[映像表現の教科書p212]


◆有名なあのシーン
善と悪?生と死?本質的で哲学的な問題提起?
何やら難しい説明ですが、そこに掲載されている使用例を見たらなんとなくわかりました。「地獄の黙示録」でのカーツ大佐登場シーンです。

↓これこれ、覚えてる方も多いでしょう。
Google画像検索「Apocalypse Now kurtz」

主役やラスボスなど重要人物の登場シーンに使う、と覚えればさほど間違いなさそうです。
下は現在私が作っているムービーでキャラクター設定をしているラスボス(仮)です。カーツ大佐のように暗闇からゆっくりと顔を出したら、大物感抜群。このシーンを撮ることを考えると今からワクワクしてきました。

Rembrandt_lighting_2
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ちなみに主人公は光あふれるシーンで登場するので、これもいい対比かも。
ワクワク。

Deadforest102mp4_20150606_232539078
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レンブラントライトの具体的なノウハウは、こちら↓のページで学びました。「入射角は45度」「反対側の頬にも光が当たるように」「ブロードレンブラントとショートレンブラント」などなど、とても参考になりました。
ありがとうございます。

玉ちゃんのライティング話
第12回 レンブラントライティングで撮るポートレイト

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2015.06.03

セリフを使わずに映画を作る100の方法

「映画表現の教科書 ─名シーンに学ぶ決定的テクニック100」という本を見つけて狂喜しました。
本書の冒頭にこうあります。

映画では事物を伝える方法は数知れずあるけれど、その中でセリフは最下位に位置すると考えていいだろう。


◆セリフ説明は最下位!
確かに「説明ゼリフを使ってはいけない」とはよく耳にしますが、ここまで断言したものは初めてです。
さまざまな想いが頭をよぎります。

ずっと昔に読んだ伊丹十三のエッセイ。
なんでもセリフで説明しようとするのは最低の脚本である。
「あ、あれは原子力研究所をおそった古代怪獣ギョトスだ!とうとう東京にやってきたのか!(手元に本がないので引用は曖昧)」

たとえば「バックトゥザフューチャー」の冒頭シーンがこんなだったら?
ドク「やあマーティン、手に持っているのはギターかね?今日はどこで演奏するんだ?あんまりデカい音は勘弁してくれよ。今度実験を手伝ってくれ」
マーティン「今度は何を発明したの?ドク」

2011年のアカデミー賞映画「アーティスト」。
映画にセリフを導入することを、無声映画のスターである主人公は拒否します。
「私は芸術を作ってるんだ!(手元に映像がないので引用は曖昧)」

「セリフは最下位」を示す例は枚挙にいとまがありません。

Screen

◆セリフ以外で説明する
構図・レンズの選び方・カメラの動かし方・編集・音響など、あらゆる手を使って観客の心を手玉に取る。
そんなやり方をこの本は100とおり教えてくれるのです。
「神本」と呼んでさしつかえありません、少なくとも私にとって。
なぜなら---


◆私の動画の視聴者の95%は外人
だから日本語で動画を作っても5%の人にしか理解してもらえません。
英語圏(アメリカ、イギリス、カナダ)も全体の30%なので、ない知恵をしぼって英語で動画を作ったとしても3割の人にしか届きません。

なので、どうしても字幕やセリフなしで動画を作らなければならないのです。
この本で技術がマスターできたらいいなぁ。
ワザの数々をブログで紹介できたらいいなぁ。

↓私の動画チャンネル
CG Animations by ghidghid

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2015.05.31

インチキ「めまいショット」をつくる

3DCGソフトPOSERのカメラズームを駆使して「めまいショット」をつくってみました。

たった4秒間のループ動画ですが、1秒間に24コマのフルアニメーションなので、96コマ使っています。
2次元アニメだと、すべてのコマを描かなければなりません。
つくるのは大変だと思います。

実際に2次元アニメでつくる場合は、人物と背景を1枚ずつ作成し、人物は固定、背景だけズームさせるのが簡単です。
↓こんな感じ。

これならば人物を1枚、背景を1枚だけ描けばよいので、はるかに省エネです。
絵を描くためのエネルギーは48分の1です。
撮影も簡単、人物と背景の別の倍率でズームしてるだけです。

さらに簡単に、人物1枚だけで済ませる方法もあります。
バックは集中線だけ。

これなら一番簡単。

96分の1の労力で同じような効果を作りだした日本アニメの偉大さを噛みしめなければなりません・・・って、いつの間にか主旨が変わってる?

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2015.05.29

「めまいショット」をつくる

私が使っているCGソフト「POSER」ではズームレンズが使えます。
これは焦点距離を50mm(※)にして撮影したおっさんです。
何かに驚いた演技中。

Fig02

カメラ位置はここ。

Fig03

ここで焦点距離を15mmにしてみると---

Fig06

おっさんが小さくなってしまいました。
そこで、カメラをぐっと近づけます。

Fig05

最初のショットと顔の大きさが同じぐらいになりました。

Fig04

ビフォアアフターを比べると、おっさんの顔のゆがみ方が違います。
床の映る範囲も大きく変わっています。これ重要。

▼ビフォア
Fig02
▼アフター
Fig04


さてお立ち会い。
この2つをつなげて動画にすると、ヒッチコックが発明した「めまいショット」になります。高所恐怖症の主人公が、高~いらせん階段を見下ろすシーンで使われました。「ドリーズーム」なんて呼び方もするようです。

のちにあらゆる作品で、主人公が動揺するシーンや衝撃を受けるシーンなどで使われています。スピルバーグは多用するらしく、ジョーズの「浜辺のロイシャイダー」なんて有名かも知れません。「(時をかける少女の)大林ズーム」なんて呼び名も聞いたことがあります。

このショットの場合、背景に建物を入れないと効果がわかりにくいので、こんな感じに配置します(クリックで拡大表示)。

Fig07_2

ショットの長さは2秒。
逆回転させたものを合わせて4秒のループ動画にしてみました。
果たして?


まるで背景がぐわんぐわん動いてるようなショットの完成です。
もちろん背景は1ミリも動かしていません。おっさんも1ミリも動いてません。
動いてるのはカメラだけ。
これを実写で撮ろうとしたら、巨大なセットを動かす以外は考えつかないかも知れません、凡人の我々には。
偉大なる発明に敬意を払いつつGIF動画をいつまでも見つめていたいと思います。

※POSERのカメラのフィルム幅は1インチ(25.4mm)なので、35mmフィルムに換算すると、焦点距離は0.73倍になります。

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2015.05.15

ちょっとだけわかった「モンタージュ」

映画技法書を読むと、必ず「モンタージュ」が説明されています。
「戦艦ポチョムキンでエイゼンシュタイン監督は~云々」ってやつ。
重要なことなので一生懸命理解しようとしますが、読めば読むほど混乱してきます。
言葉の解釈の幅が広く、書籍によっては「それって編集そのもののことなのでは?」と思うこともしばしば。

「ハリウッド白熱教室」の説明は、過去に読んだどんな説明よりも具体的で納得度が高いものでした。

ハリウッド白熱教室とは、5回にわたる映画学校の講義を書籍化したものです。NHKで放送されたのですが、残念ながら未見。
講義のテーマは「脚本」「ビジュアルデザイン」「撮影」「編集」「音響効果」の5つに分かれており、モンタージュは第4回「編集」の中で説明されています。

映像編集に「カットバック」という技法があります。
2つ以上のシーンを交互にカットでつなぐ見せ方です。

これは私のショートムービーで、オークがドラゴンに襲われるシーンを抜粋したものです。
ここでは「襲いかかるドラゴン」→「立ちすくむオーク」→「近づくドラゴン」→「オークのアップ」がカットバックで展開されます。

Seq01

Seq02

Seq03

Seq04

Seq05

さてここで、この2つ以外のシーンを挿入するとします。
どんなものが考えられるでしょう?
ハリウッド白熱教室ではこのように整理すると考えやすい、と教えてくれます。

1.同じ時間、同じ場所のできごと
2.同じ時間、違う場所のできごと
3.違う時間、同じ場所のできごと
4.違う時間、違う場所のできごと

1.同じ時間、同じ場所のできごと
たとえば襲撃シーンを目撃するリス。
木の裏に隠れてこわごわのぞく姿や、凍りつく表情を見せるのもよいかも知れません。
ドラゴンの恐ろしさを強調できます。
立派なモンタージュです。

2.同じ時間、違う場所のできごと
たとえばドラゴン襲撃時に森の方をチラ見するエルフ。
手助けをする様子は一切ありません。
ドラゴンのことを完全に信頼していることが映像で説明できます。
これも立派なモンタージュです。

3.違う時間、同じ場所のできごと
たとえば襲われているのとは別のオークが襲われるシーンを挿入します。
すると、え?このドラゴンとエルフはいつもここでオーク狩りをしてるの?という意味が映像に生まれます。
エルフはデブファミリーを囮に使ったことになり、観客の見方が変わってきます。
これまた立派なモンタージュです。

4.違う時間、違う場所のできごと
たとえばタカに襲われるウサギ。
ドラゴンに襲われるオーク、タカに襲われるウサギのごとし、というわけです。
私がイメージしていたモンタージュはこれに一番近いかも知れません。いわゆるメタファーというやつです。

別のパターンも考えられます。
若いころのオークと仔ドラゴンは昔出会っており、飼い主のオークは仔ドラゴンを大切に育てていた。しかし運命のいたずらで今は敵同士になってしまった・・・なんて背景があると一気に物語の深みが増します。
幼少時の2匹のカットがフラッシュバックで挿入されれば立派なモンタージュです。

ハリウッド白熱教室にはこれ以外にも映像づくりのアイデアが満載です。
作り手のみなさんには一読をオススメします。
残念なのは動画版を見ることができないこと。NHKアーカイブにもありません。
DVD出してくれれば買うんだがなぁ。

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